ことのはのぉと

いつかあなたの隠れ宿

どんな道でも道は道

心臓が苦しいほど跳ねまわる。 お腹の底には泥にも似たもやもやがうずめいて、気持ち悪くて何故だかくすぐったい。 大きな大きな深呼吸を、何度も繰り返す。 鼓動はまだおとなしくなる様子がない。 ああ、そうか 怒っているんだな、私 地元の幼稚園に通いま…

扉のさきにあるはなし(後編)

昔から、演じることが好きだ。 自分でない自分を、皆から愛される自分を 周囲から笑って受け入れられる自分を 可愛らしく、愛嬌があって、良い子で、愛される。 多かれ少なかれみんながやっていることだろう。 先生の前と友達の前でまったく同じ顔を見せる人…

扉のさきにあるはなし (前編)

「練習に付き合ってほしいんだよね」 「練習? なんの?」 「怪談の語り」 友だちのTさんとそんな会話をしたのが、二週間ほど前。 通話を利用して8分弱の創作怪談を聞かせてもらったのが、 その数日後。いつどこで発表するのか詳細を聞いて、それから、 そ…

綴る言葉は恋文に似て

「第二の実家みたいに思ってほしいからさ」 最初に泊まった翌日の朝、彼女はそういって笑っていた 「シェルターになれたらと思ってるから、嬉しい」 二度目に泊まった日の夜、そういって笑った彼女は少しだけ遠くを見て、付け足した 「なにより私が欲しかっ…